私は大学卒業後に二級建築士の資格を取得し、2019年度の一級建築士試験に合格しました。
建築士の製図試験を受ける上で作図スピードが大切だと何度も言われてきていると思いますが、これが簡単なようですごく難しいんではないでしょうか。

何をするにも時間がかかる私にとって、作図時間を短くすることはすごく大変でした…
作図に時間がかかる理由は様々だと思いますが、製図道具を変えてみるのは簡単に試せて時間を短縮するきっかけとなるように感じました。
製図道具は、使い慣れたものがあるかもしれません。
私も学生時代から長く使用している製図道具で勉強を始めましたが、勉強を進めているうちにもっとこういうものを使いたいと感じ、いろいろな道具を使ってみながら合ったものを見つけていきました。
今回は私が実際に製図試験本番で使用した道具をまとめました。
一級建築士の試験で使用した道具を紹介していますが、二級建築士も使用する道具は同じなのでぜひ参考にしてみてください。
製図試験は時間との勝負
製図試験は一級建築士が6時間半、二級建築士が5時間と限られた時間で条件を満たした設計をしなければならない厳しい試験です。
私の一級建築士の製図試験の時間を例に挙げてみます。
一級建築士 製図試験の時間配分
項目 | 予定時間 | 実際の時間 |
---|---|---|
1.課題文読み取り | 20分 | 20分 |
2.エスキス | 150分 | 180分 |
3.中間チェック | 10分 | 10分 |
4.計画の要点 | 40分 | 40分 |
5.作図 | 150分 | 130分 |
6.最終チェック | 20分 | 10分 |
おそらく作図時間を2時間半で設定している方が多いかと思います。
私は作図も相当遅かったのですが、それ以上にエスキスに時間がかかったため、中間チェックが終わるまでに他の人より長く、3時間確保していました。
多めに時間取っていたのにも関わらず試験本番エスキスがまとまらず、予定の時間を大幅に超えてかなり厳しい時間で作図をしました。
今では、よく130分で書けたな…と思いますが、試験中は書く流れがイメージできていたので多少書き込みが薄くなっても書ききることはできるだろうなと思っていました。
時間が厳しい中、図面を完成させることができたのは今まで勉強してきた課題で何度も作図して慣れた道具をスムーズに使えたからだと思います。
必要な道具リスト
- 製図板(平行定規)
- シャープペン(0.5、0.7)
- シャープペンシル替え芯(2B)
- 消しゴム
- ボールペン
- 蛍光ペン
- テンプレート
- 三角定規(30°)
- フローティングディスク
- 製図用ブラシ
製図試験を受ける上で必要となる道具のリストです。
これらの道具をひとつずつ紹介していきます。
製図板(平行定規)
レモン画翠のオリジナル商品であるMP-400LG IIの製図板を購入しました。
マックスのMP-400FL II と同じ商品です。
一級・二級共に、こちらの製図板を使用しました。


御茶ノ水にあるレモン画翠の店舗で購入すると安く購入できます。
公式の通販もあり、大幅に割引されていることもあるのでチェックしてみてください。
MP-400LG IIを選んだ理由
- 安い
- 2.8kgと軽量
- ケースが布製で軽い
- スケールハンガーがある
良くないところ
- ケースが布製で見た目が良くない
- 平行定規がワイヤーから外れたことがある
平行定規がワイヤーから外れたときは驚きましたが、ドライバーなどを使用せずに手で戻すことが出来ました。
不安であれば別の商品を検討した方が良いかもしれません。
使ってみた感想
私が製図板を購入する際に一番重視した点は、軽さです。
製図板自体が他の商品と比べて軽く、ケースも布製で軽かったのでこちらを選びました。
勉強する際や試験当日など持ち運びが多くなります。
商品によって大きく差があるので重さの確認はしておいた方が安心です。
正直、他の製図板を使うことがないので比較はできないのですが、特に問題なく快適に使用することが出来ました。
試験が終われば使うこともないので、機能にはそこまでこだわらなくて良いと思います。
製図板以外の道具について
製図用シャープペンシル(0.5、0.7)




0.5mmのシャープペンシルは三種類使い、こちらのグラフギア1000に落ち着きました。
試験1ヶ月前に作図の時間が3時間を切ることが出来なかった私は、資格学校の先生から”道具のせいにして道具を変えてみるのも大事”と言われ、いくつか試しました。
シャープペンシルを変えたことによって作図が早くなったとは思いませんが、作図に慣れてスピードが上がるきっかけになったと感じています。
これが合っていると思っていても、たまに違うシャープペンシルを使ってみるとしっくりくることもあるので、いろいろ試してみると良いと思います。


とにかく書く量が多いので、作図中に手が疲れるだけでなく試験1ヶ月前にペンだこが痛くなりました。
”要点の記述”と”最後の書き込み”はドクターグリップを使用することで楽になりました。
頻繁に持ち変えるのは時間ロスの原因になるので良くないですが、用途に合わせて持ち変えることは大切です。
シャープペンシル替え芯(2B)
製図用の替え芯など様々な種類が売っていますが、 私が二級・一級と勉強してきてて一番使い心地が良いと感じたのはHi-Uniです。
- 硬くて折れにくいのでストレスがない
- 芯の粉が出にくいので図面が汚れにくい
ただしHi-Uniは、0.3mmと0.5mmの2種類しかないので0.7mmはUniを使用しました。
替え芯はシャープペンシル以上にこだわって選ぶべきだと思っています。
筆圧が強い弱い、折れやすい折れにくい、引っかかりのある感じが好き嫌いなどで人それぞれ合うものが違うので、早めに自分に合ったものを見つけられると作図時間も変わると思います。
Hi-Uniは今回紹介している製図道具の中でも特におすすめなので、ぜひ一度使ってみてください。
消しゴム
通常の消しゴムがMONOだったのでホルダー型消しゴムもMONOにしました。
使用頻度は高くありませんが、細かい部分を消す際にあると便利なので時間短縮という点では購入するべきです。
角型と丸型があるので使いやすそうな方を購入すると良いと思いますが、私は角があった方がより細かい部分を消せると思い角型にしました。
ペン


特に一級建築士の試験では、蛍光ペンの色を多く使用します。
私は急いでいるときに身の回りの物が多いと整理できなくなるので、極力物を減らすために一本で二色ついているタイプの蛍光ペン選びました。
持ち変える時間が短縮され、読み取りの時間も短くなったように感じました。
課題文は年々長くなっており、正確に内容を把握することだけでなく読み取るスピードも重要となるので、読み取りに時間がかかる方はこういった商品も検討してみると良いかもしれません。


その他には、3色ボールペンとフリクションのフェルトペンを使用しました。
3色ボールペンは蛍光ペンと同じ理由、赤のフェルトペンは条件の読み落としがあったので、目立つものを使用して読み落とさない工夫をしました。
テンプレート


私は、資格学校で購入したため同じものは販売されていないのですが、こちらの商品が使用していたものと近いので紹介します。
持ち込めないテンプレートもあるので確認の上、購入する必要があります。
紹介しているこちらの商品は持ち込めます。
三角スケール


三角スケールは、用途に合わせて使い分けられるように30cm、15cmの2種類用意することをおすすめします。
私は学生時代に購入したものを使用しました。
三角定規(30°)


三角定規は45°と30°の2種類入っているものを購入しましたが、30cmの長さが確保できる30°のみで良かったと感じました。
先に30°を用意し、必要であれば45°を購入しても良いかもしれません。
方眼があるものとないもので価格が変わらなかったので方眼のあるものを購入しましたが、方眼を使用することはなかったのでどちらでも良いかと思います。
勾配定規
勾配定規は15cmのものが使いやすいと聞いていたのですが、一級建築士の試験は勾配屋根の条件でない限り勾配定規を使用しなかったため、学生時代に使用していた20cmのものを用意しました。
今から勾配定規を買うという方や二級建築士を受ける方で木造課題の年であれば15cmを準備すると良いかもしれません。
フローティングディスク
私は筆圧が強いためか図面が黒く汚れることが多かったのですが、フローティングディスクを勧められ、使用してみたら見違えるほど図面が汚れなくなったのでとてもおすすめします。
フローティングディスクを貼ったもの
- 三角定規
- 勾配定規
テンプレートに使用したところ、上手く形を取ることが出来なくなったので剥がしました。
他にも、引きたいところに線が引けないという理由で貼らない方が良かったという方もいたので、図面が汚れない方は貼らなくて良いと思います。
製図用ブラシ
いらないと思われがちですが、ハケは絶対に用意した方が良いです。
消しゴムのカスやシャープペンシルの粉を払わないと作図用紙の汚れの原因になります。
手で払うと汚れるので図面の印象を良くするためにも購入するべきです。
購入を迷ったもの
三角定規+テンプレート
テンプレートがついている45°の三角定規です。
- 線を引きながら建具を書けるので時間短縮にも繋がる
- 厚みがあるのでテンプレートが書きやすい
- つまみがあるところが便利
小回りが利かないのでテンプレートとしては少々不便なときもあるようで、こちらを購入してもテンプレートは用意した方が良さそうです。
購入を先送りにし私は結局購入しませんでしたが、使用していた方はこれがないと書けないと言うくらい便利だそうです。
ドラフティングテープ


マスキングテープで製図用紙を貼っていたのですが、作図をしているとテープのフチが段々汚くなりました。
試験直前に図面の汚れの原因がマスキングテープだと気づいたので購入しなかったのですが、本試験の作図用紙が勉強で使用していた作図用紙よりも汚れやすかったので、買うべきだったと思っています。
まとめ「自分に合った道具を見つけられるかが重要!」
私は、すべてに時間がかかったので作図時間を詰めるしかありませんでした。
試験直前まで図面を書ききることが出来ず、とにかく何度も課題をこなし、やっと2時間半で書けるようになったかなという状態で試験を受けました。
勉強をしていると、製図道具がこういうものだったらもっと使いやすいのになと感じることがあると思います。
思い切って道具を変えてみることで良い方向に進むことがあるので試してみてください。
試験当日は、練習と同じように進むとは限りません。
エスキスに納得出来なくても最後まで書ききるしかないので、ストレスのない自分に合った道具を見つけてスムーズに使えるかが重要だと感じました。
勉強をしていると周りとの差を感じて不安になることもあるかと思いますが、少しずつ成長していると信じて頑張ってください!

